『では、今から変装道具を渡す。ちなみに、服装は各自準備するように。』
太郎はそう言うと、教卓の裏に隠してあった袋を取り出した。
『変装で使用する道具は…バラクラバ、サングラスだ』
太郎は袋から今言った道具を取り出した。そして、僕たちに渡した。
『強盗が金奪う時に被っている三つの穴があいている覆面って、バラクラバって言うのか。知らなかった』十番がバラクラバを珍しそうに眺めながら言った。
『そうだ。バラクラバはサバイバルゲームなどでも使用されるみたいだが、このバラクラバとは少し違う』太郎が無駄な情報を教えてくれた。
バラクラバの裏側にはポリエステル製を記す表示が書かれていた。
『各自、演技の練習をするように。声は裏声を使うようにしろ。絶対にばれるなよ』
太郎、何でさっきから言葉遣いが変わったりするんだ。
それから僕たちは、細かい打ち合わせをして解散した。バラクラバにサングラス…変質者だ。
それから毎日家で、親にばれないように演技の練習をした。しかし、なかなかうまくいかなかった。