遠い遠い君へ

くろ  2006-08-11投稿
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「え!?佳奈先輩が!?」
七海の顔が青ざめる。

「うん・・・。
 やっぱり七海が言ってたことは本当だったんだね。
 信じなくてごめんね・・・。」

「ううん。そんなことは全然良いの。
 だって、紅璃は先輩のこと凄く尊敬してたし、
 簡単に信じるなんて無理だよ。」
七海はいつも優しい。

「ありがとう、七海。
 あと・・・。」

私は決意を七海に言おうとした。
でも、辛すぎて、涙が出てきそうになる。
もう涙は見せたくなくて私は下を向いた。

「何?紅璃、言ってみて。」

「私、晃輝先輩のこと・・・
 諦める・・・。」

「ええ!?」

七海の大きい目が更に大きく見開かれる。

「なんで?紅璃!! 
 佳奈先輩のために諦めるの?」

七海も何だか泣きそうだ。

佳奈先輩に譲ろうとしたわけじゃない。
むしろ、譲る気なんて、更々無い。
私は恐いんだ。
またあんな目に遭うくらいなら死んだほうがマシだ。
私は言い訳が見つからない。
沈黙する私に痺れをきったせいか、七海が口を開く。

「紅璃、恐いの?
 恐いから、晃輝先輩のこと諦めるの?」

七海は鋭く私の心の底を突く。

「紅璃、佳奈先輩は確かに恐いかもしれない。
 だって、酷いことされた後だもん。
 なお更だよね?
 でも、先輩からは私が守るよ?
 私じゃダメかな?
 協力させてよ。紅璃の恋。」

七海の言葉は力強くて、勇気が湧いてくる気がした。

「七海・・・。」

「晃輝先輩に話したほうが良いよ。
 全部。
 晃輝先輩の問題でもあるんだし、
 晃輝先輩なら守ってくれるよ。」



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