「え!?佳奈先輩が!?」
七海の顔が青ざめる。
「うん・・・。
やっぱり七海が言ってたことは本当だったんだね。
信じなくてごめんね・・・。」
「ううん。そんなことは全然良いの。
だって、紅璃は先輩のこと凄く尊敬してたし、
簡単に信じるなんて無理だよ。」
七海はいつも優しい。
「ありがとう、七海。
あと・・・。」
私は決意を七海に言おうとした。
でも、辛すぎて、涙が出てきそうになる。
もう涙は見せたくなくて私は下を向いた。
「何?紅璃、言ってみて。」
「私、晃輝先輩のこと・・・
諦める・・・。」
「ええ!?」
七海の大きい目が更に大きく見開かれる。
「なんで?紅璃!!
佳奈先輩のために諦めるの?」
七海も何だか泣きそうだ。
佳奈先輩に譲ろうとしたわけじゃない。
むしろ、譲る気なんて、更々無い。
私は恐いんだ。
またあんな目に遭うくらいなら死んだほうがマシだ。
私は言い訳が見つからない。
沈黙する私に痺れをきったせいか、七海が口を開く。
「紅璃、恐いの?
恐いから、晃輝先輩のこと諦めるの?」
七海は鋭く私の心の底を突く。
「紅璃、佳奈先輩は確かに恐いかもしれない。
だって、酷いことされた後だもん。
なお更だよね?
でも、先輩からは私が守るよ?
私じゃダメかな?
協力させてよ。紅璃の恋。」
七海の言葉は力強くて、勇気が湧いてくる気がした。
「七海・・・。」
「晃輝先輩に話したほうが良いよ。
全部。
晃輝先輩の問題でもあるんだし、
晃輝先輩なら守ってくれるよ。」