「・・・殺しはしない。だから、早くあいつを出せ・・・早く・・・俺をあいつに・・・・・・逢わせてくれ・・・・・・」
詰まる声で呟く私。
見つめる先には彼女の瞳が揺らぐ。
私は彼女を殺すのではないか。
このまま彼女を握り潰せば、気持ちが晴れるのではないのか。晴れる・・・
―いや・・・晴れはしない
私は彼女を解き放つ。彼女は床に転び込むと何度も咳をした。
我に還る私
私は武士らしからぬ行動を酷く恥じた。そして、床に手を付き彼女に頭を下げる。彼女は私を見て、酷く恐れをなし、目を丸くして驚いていた。