国会議事堂を出てしばらく走ったら、
菜々の姿があった。
菜々も、走太に気づいたのか、軽くお辞儀をした。
「どうした?こんな所で…。」
「私、あのニュースを見ました。」
「それより、どうしてオレがここにいるって…。」
菜々はその言葉を遮った。「私は、お母様によく言われています。『金持ちの人と結婚しなさい。』って…でも、それは結局、遠藤家の財産を強大にすることだけが目的だった…。」
「…オレじゃダメなのか。」
「そうじゃない。私は金持ちだろうと、貧乏だろうと、関係ないと思ってるの。」
寒い風が、暖かく感じるくらい、菜々の体は火照っていた。
「私も…あなたを愛してる。」
この言葉を、言いたかったから。
「だから、私の家に来て」そうして走太は、言葉にできない感情を持ちながら、菜々の家へと向かった。
「どこ行ってたの!」
「私は、ただご紹介したい人を連れてきただけです。」
そこには、スーツ姿のいかにも着替えさせられた走太がいた。
いや…これには訳があった。