神のパシリ 42

ディナー  2009-12-02投稿
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「…くっ!!」

レミーシュはゼルから体を離し、
唇から糸を引きながらも、呆然とゼルを見ている。

右肩から、何者かの、
鋭利な指が突き出ている。

「…案外マヌケだな、お前」

ベッドの下から声。


…そうか。

魂などないから、
気が付かないワケだ。

「お前の体もいただくぜ」

魂の焔が、激しく魂喰いの起こす風に揺さぶられる。

以前のように、躯を支配
するつもりか。

…レミエルのように。

ゼルは体を起こそうと
するも、貫いた指が
がっちり右腕を掴んでいる。

「…なめるなっ!」

激昂し、ゼルは左腕を
切れ味鋭い手刀にし、
人外の力をもってして
自らの右腕を肩から
切り落とす。

凄まじい痛みと、
吹き出す血液がシーツに
大輪の赤い花を咲かせた。

右腕と引き換えに自由になった体で、
素早くゼルは体を起こし
飛び下がる。

「武装もねぇ、主の恩恵もねぇ。お前はもう、オレの器だ」

闇の中の影がゆらめき、美しい姿の魂喰いが
姿をあらわす。

「右腕落としやがって…またくっつけなきゃいけねぇじゃん」

「…貴様…謀ったな…」

「レミの色香に血迷っておいてよく言うぜ」

魂喰いの言葉に、レミーシュはばつが悪そうに
うつむいた。

何かを……

知っているのだ。

ゼルは確信した。

尋問するには、ここを
生きて離脱しなくては。

だが、武装も、主との
交信ももはやできない。



万策尽きたか。



だが、予想外な事に、
レミーシュが魂喰いと
ゼルに割って入った。

「もう…もうやめようよ…私には、これが正しい
なんて思えない…。
あんたの夢とか理想って、こんな事しなきゃいけないの?
私が…私が知ってるあんたはこんなんじゃ……」



知っている…?



魂喰いは嘆息し、哀れむようにレミーシュを
見つめた。

「…じゃあ、レミも一緒に死ぬか?否定するなら、
お前なんか……いらない」

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