そして私は、
「じゃあ、せっかくだから写真とろうか?」
持って来たカメラを取出し桜を撮ろうとすると、
「大和君も一緒にね?」
誘ってくれている桜に、
「もちろん、喜んで」
私は桜の隣に立ち、二人でツーショットを撮ってもらった。
桜に送った、ドレス姿の最初の一枚がこの日撮られた。
桜のドレス姿は、今も鮮やかに残っている。
私と一緒に写っている写真は、今にも動きそうな感じだった。
フッと桜の花びらが部屋に入ってきたのを見ると、桜の木がゾワゾワと揺れていたので、近くに寄る。
桜の木はそれでも風に揺られていたが、この木にあの時まで願いをした事はなかった。
私は一度だけ、この桜の木にお願いした事がある。
たった一度の奇跡を信じて。
それは、やはり桜の事なのだが……