児童虐待は、一種類ではない。 子どもに対して無関心なネグレクト、外から傷を追わす仲間には性的虐待も含まれる。
もっとも厄介なのは、精神的な苦痛を与え続けることであって、外傷と、危害を加える側の良心の呵責が少ないために、周りも加害者側も、それが虐待であるとは気付かないケースが多い。
まさに、一軒の家の中の密室性がそれらに拍車をかけた。
幼い子どもなどは、その苦痛から逃れるために、卑怯な生きざまを選ぶ場合も見受けられる。
この機に乗じてくる輩こそ、真の悪党であった。
千鶴子は、夫の死後、うまく保険金も年金もてに入れることにした。
これで、ずいぶん昔から欲しかった地続きの建物を買った。
大屋をしたかったのである。
もちろん、房子との協同であった。
働かずして収入を得ることへの憧れは、現実には誰も買い手のみまもりが生じた。