寒い……そう、寒い冬でした。
味を踏入れる度にはきなれたローファーに雪が絡み付いて、体感する冷たさと感覚できる冷たさだけを残して消えていく、あるのは不快感だけ――だから僕は雪が嫌いで。
電車なんて三十分毎にしか来ないから、一本でも乗り遅れたら遅刻確実だし。 しかも終電が二十二時なのは、夜の楽しみを覚え始めた健全(?)な男子高校生には痛手なのです。
他にも、雑誌に出るようなお洒落な洋服は、何処にも販売してないし。
頭の悪そうかヤンキーがゴロゴロと、まるで風呂場の垢みたいに大量発生してるし……。
嫌いな所を挙げれば、三日徹夜でも語り尽くせないのですが。
用はこの街が嫌いなのですよ。僕は。
春夏秋冬の内、僕が嫌いな雪が降る季節――つまり冬が最も長い、この街が大嫌いなのです。
だけど、多分……いや、絶対に最も嫌いなのは――。
そんな“大嫌い”だらけの街で、自分の足で何かを歩む事なく、自分の意志で何かを始める事もない――まるで“生ける屍”はたまた“中身のないビックリ箱”のような自分自身が一番嫌いなんだと思います。
自分が一番嫌いなんです。