僕が甲子園へ行くことができたわけ-3-

吉野津香砂  2009-12-04投稿
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オレとしてはすごーく調子のいいことばかりを並べてしまったわけだが、彼女の出現によってオレの野球に対する姿勢が
180度変わってしまったことは間違いないと思う
オレは、練習が終わってから会いにくると約束したが、最初の2、3日は練習をさぼって彼女に会いに行っていた。なぜか、オレがサボっていることを見抜かれているようで、何となく気分がすぐれなかった。
それで、彼女と約束した通りに次の日から練習に参加することにした。


「オッス。」
「こんにちは。」
「今日、練習長くなったから。遅くなって、悪いな。」
「ううん、ほとんど毎日 来てくれるだけで…あ りがとう。」
「気にするなよ。約束の グローブ。」
「ありがとう!」
ほとんど毎日だけど、彼女といると話題か尽きることはなかった。
「あっ、オレさまだ名前聞いてなかったし、オレも言ってなかった。」
「私、知ってるよ。竹内幹雄くんでしょ!」
「えっ、どうして…」
「えーっと、だって、ここに。」
彼女は慌てて最初の日にあげたボールを見せてくれた。でも、オレはずっと前から知っていたような気がした。
「あー、これならばれてても仕方ないか…じゃあ改めて。オレ、竹内幹雄。中1。」
「高崎加奈子。同じく中1です。」
「えーっ、てっきり1こか2こ上かと思ってたよ〜」
「そう?でも、竹内くんがいつも気軽に話してくれてたから、年下に見られてるって思ってたんだけど…」
と、話し込んでいると、
「あっ、お母さん。」
オレはびっくりして、
「すみません。勝手におじゃまして…」
と頭を下げた。
「あなたが、竹内くん?加奈子から聞いてます。これからもいいお友達でいてくださいね。」
「は、はい。」
オレは、返事だけで精一杯だった。加奈子に似て笑顔のステキなお母さんで、ただ何となくおかしいと思った。
オレみたいな奴を友達と認め、仲良くしてやって下さいとは…

夏休み中、ずっとこんな日が続いた。そのおかげでオレは、かなり先生や先輩からも信用を回復することが出来、毎日が充実していた。



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