ねぇ…大好きなのに。

春樹  2009-12-05投稿
閲覧数[539] 良い投票[0] 悪い投票[0]

お金のない生活は続いていた。

「仕事変えようかな?」

春樹は仕事が切れて、休みになる度に、そう言っていた。

私は春樹の気持ちを、いつも信じている。

春樹が自分で出す答えを待っていた。

だから、無理に仕事を変えろと言ったり、お金が無い事を怒ったりしなかった。

私が急かした事で、春樹が答えを間違えてしまうのは、絶対に嫌だった。

しかし、そんな日々は長く続くはずもなく、家賃を滞納していた事でアパートを出て行く事になってしまった。

滞納していた分の家賃は、保証人になっていた春樹の父親が払ってくれた。

春樹は、実家には帰れないと言っていた。

行く所が無くなった春樹が、友達の所に行ってしまったら、もうそんな苦痛には、耐えられないと思った。

私は、自分の母親に相談した。

人に助けてもらったり、守ってもらう事を、自分からお願いするのは、それが自分の親でも、私は凄く嫌だった。

できれば、自分の弱さは誰にも見せたくない。

そこに、人を巻き込む罪悪感。

自分を無力に感じた。

夏が終わりかけた九月の始め。

今年中に、お金を貯めて春樹と二人でアパートを借りられる様に頑張る。

そう言って、春樹と二人私の実家での生活が始まった。

始めは、春樹も嫌がっていた。

迷惑かけるから、別れようと言われた時もあった。

その時、私は別れたく無いと言って泣いた。

失わない為に、泣いた事なんて今まで無かった。

【春樹の事なら、一生大切に出来る。春樹なら、私を一生大切にしてくれる】

そう思った。

私の実家で暮らし始めてから、きっと真っ直ぐ幸せな道を進み始めたと、そう思っていた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 春樹 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ