ロストクロニクル10―1

五十嵐時  2009-12-05投稿
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タクト、パール、ウェド、フラットの四人は傷が癒えるを兼ねてこれからの進路について話し合っていた。
「いてっ!」
タクトの頭上にひとつの瓶が落ちてきた。
「なにあれ?」
パールが転がる瓶を拾い上げ、中に入っている便箋を取り出した。
「わっ!これ、王族からの手紙よ!」
パールはみんなに封蝋を見せた。
「すごい!初めて見ました。姫様からの手紙みたいですね」
パールが便箋を読み上げた。難しい言葉が綴られていたが、パールが「要するにオーケスに帰って来いってことね」と要約した。
「どうしてだろう?木彫りの不死鳥はまだ、脚と王冠が残っているのに、それに勇者の血の正体も全くわからない」
タクトはしばらく考えた。
「タクト、考えたって意味ねぇだろ。一度帰ってみるか?」
タクトは「ああ」と答えた。
「じゃあ、次の目的地はオーケスですね」
「そう、タクトの故郷、オーケス」
フラットはタクトから地図を借りるといつものように最短ルートを考え始めた。
「ねぇ、タクト」
タクトはパールに目を移した。
「タクトって本当は農家なんでしょ?」
「うん。そうだけど?」
「タクトって何を育ててるの?」
パールの突然の問いに一瞬戸惑ったが、すぐに返した。
「・・・キャベツとか、トマトとか」
パールは「・・・素朴」と言って笑い始めた。
「あとカーミッシュかな」
パールは笑いを止めた。
「何それ?」
タクトは気づいた。パールは今、完全に商売人の顔になっている。
「ただのカーミッシュさ」
タクトはにこりと笑ってみせた。
「だから、カーミッシュってなに?」
「道見つけました。行きましょう!」
フラットの声だ。
「ああ、早く行こう」
タクトは追いかけてくるパールを追い払うように歩き始めた。
始まりの地であり、そして終着の地である、故郷オーケスへ・・・



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