僕の身体はぐにゃぐにゃと曲がり、世界が歪み、気付けば僕は、おもちゃのトラクターの中だった。
運転席に座って僕は運転している。助手席にはあの女の子がいた。
女の子は俯きかげんで何か言っている。
「返して。」
僕は、先程の女の子に呼び止められた。
水場で固まっていた僕は慌てて弁解した。
「ごめん。ごめん。盗むつもりじゃないんだ。」
僕は車のおもちゃを女の子に返した。
女の子は片手で僕の手から車のおもちゃを奪い、反対側の手に持っているおもちゃのカゴの中に戻した。
女の子はカゴを取りに帰ったのかもしれない。
カゴの中には、女の子の人形や家、兵隊の人形や小さなバケツなど、小さな物が細々と入っていた。
女の子はあっかんべをして、また走って何処かに行ってしまった。
そして僕は、家に帰ることにした。
また僕は、考え事をしながら川沿いを歩いた。
でも今度の題材は、おもちゃのカゴの謎についてだったが。