――「あんた名前は?」
白い坂道を並んで下っていると辺りの人々は2人を避けるようにしながらじろじろこちらを見てくる。
レンはその視線を気にしながら足を速めた。
「聞いてる?」
この男は全くこの視線に気付いていないのだろうか。
「…え?…ああ、あたしの名前はレン…」
――『レン、あなたはこの世には存在していないことになっています。なので簡単に外で自分のことを明かさないように。いつ命が狙われるかわかりませんから…』――
レンの頭にルシオの忠告が浮かび、レンは言いかけた言葉を飲み込んだ。
「レン?」
「あ…えっと…レンニューっていうの。レンニュー!!」
レンは慌てて答えた。
「ふぅん、変わった名前だな」
「あなたは?」
「俺は…レオナルド・ザ・ピンチ!レオナルドでいいよ」
「へーあなたも変わった名前ね。それに…さっきのあの強さ…あなたは一体何なの?」
「うーん、まあ旅人みたいなもんかな。人を探してるんだ。あんたもこの島の人間じゃないでしょ?」
「え…うん」
レンは驚いて彼を見た。男は鼻唄を歌いながらすたすた歩く。
「何でわかったの?」
「なんとなく♪」
彼は意味深な笑みを浮かべた