知ってるよ。??

やまだ  2006-08-12投稿
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知ってるよ。

あなたの切ない気持ち。

でも、あなた知らないでしょ。
あたしのもっともっと切ない気持ち。




――…??…――


昨日から、ずっと目を冷やしてばかりいるような気がする。


『もういいかな。』


鏡を見ながら、そっと冷やしたタオルを外す。


『―…行かなきゃ。』



昨日、改めて叶わない片想いを思い知って
あたしはどん底まで落ちた。


でも、落ちるとこまで落ちてみたら、これ以上落ちることはないことに気が付いた。


『…とりあえず、頑張って学校行くぞ。』


それで、鈴木くんに、笑っておはようって言おう。


駆け足でいつもの道まで走る。



歩きはじめて15分。

いつもなら、鈴木くんがとっくに挨拶してくれるのに。


『…お休み…?』


色々考えてるうちに、曲がり角まで来てしまった。


『あ、亜美ちゃんおはよう!』

泉先輩が笑って挨拶をしてくれた。

『おはようございます。』


あたしも笑って挨拶する。


『今日はヨシ朝練なの。』
『えっ、あ、そうなんですか。』


だからいないのかぁ。


風邪でも引いてしまったのかと心配していたので安心した。


『…ね。亜美ちゃんてさ。』
『はい?』
『ヨシのこと好きなの?』


なっ…


『なんですかいきなり!!』
『だって、亜美ちゃんの家ってこの道使ったらすごい遠回りでしょ?』


鈴木くんがこれくらい鋭かったらいいのに…。



『違いますッ。』
『えーうっそだぁ。』
『本当です!』
『ふふッ。あたし協力してあげるよー?』


前言撤回します。


泉先輩が、鋭かったら
こんなこと言わないよ。


『…鈴木くん、好きな人いるんですよ。』


先輩を静かにさせたくて、あたしはとっさに言ってしまった。

『えっ!?』
『あっ…いや…』
『誰!?あたし知らない!』


あたしは知ってます。

でも
教えてあげない。


『…誰かは、知らないんですけど…。』
『…そっかぁ…ヨシに好きな人がねぇ…』


よっぽど、言ってやろうかと思ったけどやめた。


悔しいなぁ。ちくしょうッ。



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