君が浮気していることは知っていたよ。最初から、ずっと。
何も言わなかったのは、僕の元に帰ってきてくれればいいと思っていたから。
僕が一番ならいいと思っていたから。
「おっ、何だ。お前も今日デートだったんだ?」
「えっ、あ、まぁ…」
彼女とのデート中、ブラブラと街を歩いていると、彼女の浮気相手と出会した。
「これからメシ?コイツ、嫌いなもんばっかだからおたくも困るでしょ?」
「いや、別に…」
「嫌いなもんばっかな上に、ワガママだから余計に面倒くさいよなぁ?」
「……」
「ちょ、いいでしょ!あたし達、もう行くから!」
僕に絡んでくる相手を慌てて引き剥がすと、この場に居たくないという風にさっさと歩き出す彼女。
「また連絡すっからぁ〜」
遠くで浮気相手が手を振っている。
彼女のことは俺が一番知っている、そう言いたげで、お前は所詮は二番目なんだよ。
浮気相手の目はそう語っていた。
「あの、彼はね、仲の良い友達で…」
「知ってる」
僕の元に帰ってきてくれればいい…いや、前言撤回。
「僕だけを選んで。他の奴とは別れて」
驚いている彼女を放って、僕はそのまま帰ってきた。
数時間後、彼女から電話がきて。
「…あたしには、貴方だけだから…」
どうだ、見たか。
やっぱり彼女の一番は僕なんだ。
お前が所詮、二番目なんだよ。