男二人で夜ドライブに出た。
会社が休みでやることもない新入社員の二人。同期で気の合う二人が思いついたアイデアだった。
「隆!今度の連休までに彼女作れるかな?」
「無理だよ三輪君、残業ばっかりで暇がないもの」
そんなたわいない会話が続いてトンネルに差し掛かろうとした時だ。どちらからともなく「あれ!「今」「人がいた?」
「見たよ。たしかに」トンネルを抜けたところで車を止めた。
「なんか不気味だったよね」「帰るか!」
それからは無言の二人。帰り路のトンネル、前だけを必死に見うとする二人。
そうなのです。後ろの席にはルームミラーに写る誰かが。
窓の外には顔が複数、車と同じ早さで浮いてついてくるいる。
「横は見るな!見るんじゃない!」そう自分に言い聞かせる二人だが声は出ない。対向車らしい光が見えた。次の瞬間、隆は横向いてしまった。「ウワァァァー」 「ギューーウー」声に驚いた三輪がキューブレーキをかけたのだ。 隆は目を開いたまま放心状態。三輪はハンドルにうずくまっている。
何人もの顔が車をとり囲んで二人を見ているのだ。やがて対向車の音が聞こえた。「ドボガーン」トンネルの入口に激突した。