九州から帰った、哲彦と義人は、その一週間後、剛夫を呼んで、いつも利用するファミレスに集合した。
「どうだった?満喫出来たかい?」
「まあな。次回は、あんたも来いよ。
やっぱ、俺ら20年の付き合いだし、3人揃った方が楽しいだろ?」
「そりゃそうだけどさ、うちの会社も人手不足だから、なかなか休み取れないんだよ。取ろうと思えば取れるけど、後でしわ寄せくるんだよ」
また、いつもの剛夫のセリフに、またいつもの義人のセリフで「あのな〜そんなの俺も同じだよ。哲ちゃんは、ともかく、俺も土日休みのない仕事なんだからよ」
「まあ、努力しますよ。…ところで、どうだったのよ。」
「俺は、前回の子と、いろんな話が出来たよ。将来的に何をやりたいとか。…あと、哲ちゃんと居酒屋にいたら、女性グループと意気投合して、友達になったよ」
「へえ〜。で、メールは、あるの?どちらからも?」
「あるよ。まあ、事務的な感じだけどね」
「事務的?」
「つまり『こないだは、ありがとうございます。またお会い出来るといいですよね』って感じのだよ。それ以上はあまり書かれてないよ」
「なるほどね。で、哲ちゃんは?」
「義は、まだ甘いな。俺なんか、帰った翌日から、メール攻撃だよ。『なるべく早く来てね』とか、『来月東京に行くから、案内してね』とかな。…どうやら、社交辞令じゃなさそうなんだよ。電話かかってくるし…もう1人も、頻繁に来るよ」
哲彦の、自慢げな表情に義人は多少ムッとしながら、「良かったな。俺より進展があってよ」と言うと、哲彦は、義人の欠点を指摘した。
「あのな〜お前の駄目なとこは、そうやって、いつまでも消極的なとこだよ。
少しは、強引に行けよ。」
2人のやりとりを聞いていた、剛夫が「まあまあ、まだ始まったばかりだし…これからでしょ」と言うと、哲彦は間髪入れずに言った。
「何言ってんだよ!お前は始まってもいないだろうが!職場にいないのかよ。そういった女性がよ〜」
「いないよ!みんな、年配だし、結婚してるし、義と条件は一緒だよ。」
「だったら、なおさら来いよ。次回は」
3人の、不毛なやりとりは、しばらく続いた。
が、哲彦には新たな問題が浮上した