赤音の体は普通の女性に比べれ
ば小さい方だ。でも赤音は奇麗な
体をしていた。健康的なスベスベ
な肌、桃色に潤んだ唇、そしてな
によりきらめく瞳だ。
「赤音・・・か」
「さとし」
「奇麗な体だな」
「・・・・」
赤音の頬は赤く染まる。可愛い
。抱くと俺の両腕に収まる小さな
体は少し安心を取り戻していた。
こうして夜が明けた。
次の日。俺はいつもより遅く家
を出た。理由は
「あれ、赤音?」
昨夜隣で寝ていた筈の赤音がい
ない。
「どこ行ったんだ?」
風呂場やトイレとかを見てもい
ない。仕事か?
「あっ、ヤバイ、会社に遅れる!
!」
俺はある飲料商品の会社で働い
ている。訳あってそこの社長に直
々に雇われた身だ。
「そういや新しい商品のPRにつ
いて会議があるんだった」
バイクを走らせながら赤音がど
こに行ったのか頭の隅の方で考え
ていた。
「はぁ〜なんとか間に合った」
「よっ、お前がこんな時間に出勤
なんて珍しいな」
「へへへまぁな」
「昨日何かあったか?」
「・・・・・」
(昨日Hしたとは絶対に言えない
よな)
「いや、特に何も」
「そか」
「そういやさとし」
「うん?」
「部長が読んでたぞ」
「えっ!?もう会議の時間?」
「いや何か紹介したい人がいると
か言ってたなぁ」
「小森、サンキュー」
紹介したい人?一体誰だ?
あぁ、新しいCMのやつかな?ま
ぁ行くだけ行くか。
「失礼します」
「おぉ、来たかさとし君」
「部長、用事とは?」
「うむ、そろそろ着く頃だ」
部長がそう言うと部屋にノック
の音が横切った。
「失礼します。ジェネラルデラク
シー事務所の者です」
「お待ちしておりました」
(ジェネラルデラクシー事務所?
やっぱり新しいCMの件か?)
「では今回の新作のCMキャラク
ターの声を演じます。及川です」
(及川?どっかで・・・)
その紹介のあてに入ってきた人
はまぎれもなく俺は見覚えがあっ
た。
「及川赤音です、よろしくお願い
します」
「赤音!!?」
俺は思わず大声を出してしまっ
た。無理もない。新しいCMキャ
ラクターの声を演じるのが赤音な
んて、そりゃぁ驚くさ。
(そういやこいつ『無名の声優』
って言ってたような)