新しいCMで使われるキャラク
ターは『果実猫』って言う名前で
そのキャラクターの声を担当する
ことになったのがあの及川赤音だ
った。
「お前何してんだよこんなとこで
。起きたら居ないから心配したん
だぞ」
「あのすみません、あなた誰です
か?」
「!!?」
(そんな、赤音が俺のことを忘れ
てる?何でだ?)
こんな事があったが部長が新し
いCMについての話しを進めてい
たがまともに耳に入る筈もなく、
会議を終えて企画書を書き、会社
をあとにした。
「ただいま〜」
「あっ、お帰り〜」
(あれ?赤音が家に居る?)
「お前今日俺の居る会社に来たか
?」
「うん、行ったよ〜。でもびっく
りしちゃった。私の仕事の相手が
さとしなんだから」
「なら何であん時あんなこと言っ
たんだよ」
「何が?」
彼女は微笑みながら俺に聞き返
してきた。真剣に覚えていないら
しい。
「ほらお前が部屋に入ってきた時
に言ったアレ」
「あぁ、だって私これでもアイド
ル声優よ?マネージャーの前であ
んな事言われたらそうするしかな
いのよ。いくら新人でも色々ある
から」
「あぁ、そうか、ならいいんだ」
「つーか飯食ったか?」
「まっ・・・まだ」
「おいおい、期待してたのに」
「何よ。私とさとしは別に同棲し
てるわけじゃないんだかね?」
「つってもお前も女だろ?なら何
か作れるだろ」
「・・・・・」
「え?まさか・・・お前」
もうお気づきだろう。そう、及
川赤音はアイドル声優の顔をもつ
のだが、実は
「料理出来ないのか?」
「そっ、そうよ。悪い?」
(威張らなくていいのに。顔が赤
くなってきてるぞ。まぁ可愛いか
ら良し)
「まったく。年頃の女なんだから
料理くらい出来るようにしとけよ
な」
「いいもん。コンビニで買ったや
つでいつも済ませてたもん」
「だから大きくなんねぇんだよ」
「ウ〜〜」
膨れっ面になった赤音はまるで
わがままな女の子の様だ。
「それに不健康極まりない。自炊
は大切だぞ」
「それは分かってるけど」
「・・・よし。今日の晩飯は一緒
に作るか」
「えっ?」
「自炊ってもんを教えてやる。お
前は料理を覚えられてついでに晩
飯が食える。」
「うん。ありがとう!!」
彼女は嬉しそうに笑った。