「・・私は聞いていないぞ?」
赤髪で隻眼の男が怒りを露にする。
「今さら決定を覆すことは出来ん。これは任務だ。」
白髪の大男が渋い声を発する。
「では私は辞めさせてもらおう!」
「何だと?」
「ちょっと落ち着いて、二人とも。」
と、淡桃色の長髪の女が仲裁に入る。
「ったく、面倒くせーな。だから一人でいいって言ったのによ。」
黒髪の男は、耳に小指を入れながらため息をついた。
「なんだとラグナ?」
「やんのか?」
赤髪の隻眼と、黒髪のラグナと呼ばれた男は、互いに睨み合う。
「ハイハイ、そこまで。
シャネルの言うことはよくわかるわ?
でも、この際仕方ないじゃない?
あなただって今の戦況がどうなってるのかぐらいわかってるでしょ?」
「ただ劣勢というだけだ。如何ようにも状況は覆せる。」
「なら、相違ないな?」
「いや、それには納得出来ん。」
「融通きかねぇよな全く。堅物が!」
一向に折れようとはしないシャネルに対して、ラグナは先程より鋭く睨みつける。
「貴様とは、一度剣を交えねばならぬようだな。」
シャネルは腰の剣の柄に手をかける。
「止めんか!馬鹿者が!今は成すべきことを成せ。
あの方を裏切るのか、シャネルよ!」