二人の警察官が違反車輌の取り締まりをしていた。
血相を変えた男が三人警察官に訴えかける。
「すいません。コイツが大変な事をやらかしてしまったんですよ」
駆け寄る警察官
「一体何が有ったんですか」
「だからですね、コイツがね、家の物を盗ったんですよ」
「窃盗事件ですね、事情聴取しますので、署で詳しく伺いましょう」
警察官は、コイツと指を指された、小柄な男に近寄った。
小柄な男は、大きく手と顔を振って訴える。
「旦那待ってくだせぇ、私ゃ何も盗ってませんよ」
「一体何を盗ったと言うんですか」
警察官は大きく前に出て聞き直す。
付いて来た三人目の男が答えた。
「聞いて下さいよぉ、実はですね、この二人は被害妄想の入院患者なんですが、時折逃げ出すんですよ、何とかしてもらえませんか」
警察官は呆れた顔で答えた。
「警察は民事不介入なんです」
今まで、手を止めていた違反車輌の取り締まりに戻って行った。
四人目の男と合流して帰って行く。
「聞いてよぉ、君達三人のお陰で、警察官の注意を引いてくれた時間内に、この通り、たくさん稼げたぜ」
四人目の男は、自慢気に、スリで抜いた、たくさんの財布を見せた。