二つのグラスに、ワインを注いだの。
彼と私の分。
彼の分には、無味無臭の毒が入ってるの。
そんなに、苦しまないやつ。私、優しいっ。
もちろん、今日のアリバイは完璧。絶対ばれないもん。
指紋も、後で拭き取りが楽なように、なるべく付けない様にしたし。
なんて、素敵な私っ。
あ、彼が訪ねてきた。「どうぞー、中に入って待っててー。今、美味しいワイン出すわねー」
えーと、毒入れたのどっちだっけ?
まあ、両方混ぜて私が飲まなきゃいいのよっ。
まぜ、まぜ。
こぼさないように、運びまーす。
「ワインどうぞ、飲んでみてっ。…えっ?ワイン嫌い?日本酒が好き?
…えっ?私?私は飲まないのかって?」
えーい、こぼしちゃえー
ガチャガチャどぉーん