『今やる事は、いじわる先生を倒すことだろ。』
『じゃあ、頑張ろうよ。』
『こんな所で、負けてらんないよ。』
幸輔の温かい言葉が、優太の脳裏に浮かぶ。
「幸輔。腕を見せてくれ。」
幸輔が痛そうに押さえていた左腕を見てみると、
「何だよこれ…。」
そこには、『呪』と書かれた印があった。
どうやらこのせいで、痛みが来ているようだ。
「どうして…。」
優太はあわてるばかり。
「ごめん優太…。僕隠してたんだ。この事。」
「…幸輔。いつから？」
「クラスメイト達が放課後河原に集まった時なんだ。その帰り道、いじわる先生に会って、…この呪印を押されたんだ。」
「…くっそ！どうしてオレは気づいてやれなかったんだろう…！」
優太は、近くの本棚を蹴った。
今から２ヵ月前。
涼子の手紙の関係で、放課後河原に集まった時だった。
その帰り道。
幸輔は優太と別れ、１人、家に向かっていた。
夜道は暗かった。街灯の明かりが温かく感じられる。住宅街。人通りは全くない。そこに、近づく足音。
「幸輔くん。」
後ろから肩を叩かれ、振り返ったら凄まじい力で左腕をつかまれた。
「呪ってやる…！」
「て、てめぇ…」
腕に、呪印を押された。
「っ…ああぁぁあ！」
いじわる先生は去っていった。
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