recall project #32

ERROR  2009-12-19投稿
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「ただし、このようにここの物の値段が外より高かったら、果たして同じ行動をとっていたか?」
メガネの問いに怜は首を横に振る。
「とても勿体なくて偽物のPPでは買えない。仮にこれで買った場合、かなりの損だからね。ほとんどの人はそうしないだろうね。」
話が一段落した後、俺はメガネに聞いた。
「でも何でそれが”本物の”PPの価値を守るんだよ。」
メガネは持った眼鏡を胸ポケットにかけて言った。
「こうすることで偽物のPPの価値が下がるんだよ。実際、10円で1PPは買えても1PPで10円は買えない、1PPはここでは約5円の価値しかない。そこだよ。だからわざわざ損してまで偽物のPPを使って買う人はいない。逆に本物のPPを使って買う人がほとんど。そして、本物のPPこそがここで重要なものとなるから、価値が守られる。そうですよね?」
メガネはどうだという表情で女性の方を見た。
「うーん、難しかったけど言ってることはあってるよ。確かにメガネくんの言う通りね。」
その女性の言葉に少し頬を赤らめ、また眼鏡をかけ直した。
「じゃあこの売店ってあまり利用する人いないよね。意味あるのかな?」
怜が不思議そうに女性に聞いた。すると間髪入れずまたしてもメガネが話し出した。
「この売店の持つ意味は十分あるよ。そしてこの値段にも関係している。」
「またどうして?」
怜がメガネの方を向き言った。
「この売店をどんな人が利用しているかというと、大方忘れ物をしてしまった人や、授業の用意が出来ていなかった人だろうね。そういった人達がペナルティーを免れる最終手段がここ。値段を高く設定している説明もつく。『いつも当日その場凌ぎで何とかなると思うな。』という学園からのメッセージとも取れる。」
「完璧!すごいね、メガネくん。君の言う通り。」
女性がまたメガネを褒める。
「なるほど……よくわかったよ、kメガネ君。」
怜も関心したような眼差しでメガネを見る。正直俺もメガネの言うことに関心しきりだった。久米金、なかなか賢そうだ。
「元々『間に合わせ』は高くつくものなんだよ。それを教え込む意図も少し入ってるかもね。」
メガネが満足した表情で言い切った。
「なるほどな。全く、ここは抜目ないな。」
俺もさすがにこの学園には呆れた。



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