行き先も語らず
時間も語らず
そこに居る事も語らない
喜びも語らず
不満も語らず
抱えた苦痛も語らない
愛も語らず
想いも語らず
消せぬ感情も語らない
一人佇む君は愁いにけぶる瞳で何を語る
過去も語らず
未来も語らず
溢れる夢も語らない
怒りも語らず
悲しみも語らず
張り裂ける心も語らない
希望も語らず
戸惑いも語らず
受ける屈辱も語らない
一人佇む僕は虚空を見つめる瞳で何を語る
肉の喜びも語らず
骨の痛みも語らず
昂ぶる絶頂も語らない
二人横たわる仕草はその身体で何を語る
寄り添う二人抱き合ったまま何も語らず…