幹事が乾杯の音頭をとり、同窓会が始まった。
私たちのテーブルは香奈と美紀と私、龍太君と樹君の5人だ。
香奈が龍太君と向かい合い、美紀と樹君が向かい合って座っていたので、奥にいる私は一人ぽつんと座っている。
香奈はお酒も入り、龍太君と楽しく話している。その向こうにいる美紀たちも楽しそうだ。
はじめは私も香奈と龍太君の話に入っていたけど、なんだか二人が良い感じになってきたので見守るだけにして、一人で梅酒をチビチビ飲んでいた。
たまに樹君がこちらを見ているような気がしたけど、中学時代に下駄箱で話して以来話していないので気まずい。
トイレに行きたくなったので、香奈と美紀の後ろを通り、トイレへ向かった。
洗面所で手を洗いながら、「テーブル戻るのイヤだな…。ちょっと外の空気吸いたいな。」と考えた。
トイレから出た私はテーブルに戻らず、そのまま外の風にあたりにいった。
外はすっかり暗くなっていて、星が出ている。
星を眺めながら、店先のベンチに座った。
「なんか…つまんないな」
そう呟いた瞬間、店のドアがガラっと開き、樹君が出てきた。
き、気まずい…。
「何してんの?」
樹君が話しかけてきた。