その一言が
僕の背中を押したんだ
振り向くことは許されなかった
背中の汗は滝となっていた
その一言が
僕を上へ押し上げたんだ
下なんか見ることができなかった
上も下も恐怖の根源なんだ
その一言が
体を重くしたんだ
耳を傾けるのが嫌になった
下から鉛が飛んで来る
その一言が
僕を焼き尽くしたんだ
手を伸ばすことはできなかった
夢が僕を縛り付ける
その一言が
僕を堕としたんだ
僕は許されなかった
僕だけなら許されたかもしれなかった
その一言が
僕を地に叩き付けた
声を出すことは許されなかった
既に僕は燃え尽きていた
その一言が
イカロスを殺した
空に許されなかった
哀れな哀れな嫌われ者