慶太郎は草むらにしゃがみ込んだ。
何をしてるのか光希からは見えない。
光「どうしたんー?」
慶「ちょっと来てみて」
慶太郎はしゃがんだままちらっと振り返り光希を呼んだ。
光希も置いてあったサンダルを履き湿った草むらに足を踏み入れた。
昨日雨でも降ったのか地面はぬかるんでいて滑りそうだ。
光希が近寄ると慶太郎はゆっくり立ち上がり振り返った。
光「何ー?」
光希が尋ねると慶太郎はにやっと笑って包んでいた両手の平をゆっくり開いた。
光「きゃあー!!」
光希は叫ぶと同時にぬかるんだ土に尻餅ついた。
慶太郎の手の平から飛び出したのはカエルだったのだ。
光「けーいーたーくーん?!!」
慶「あはは、ごめん」
光希が睨むと慶太郎は珍しく声をあげて笑った。
慶「ほらっいっぱいおんで」
慶太郎はそういうとまたしゃがんで次はバッタを捕まえ光希に近寄った。
光「ああ、もうあんたが虫大丈夫なんはわかったから!やめて!」
光希は尻餅ついたまま足をばたつかせた。
やがて光希は慶太郎の手を借り立ち上がったが慶太郎がまた見つけてきた虫に追いかけられた。
慶太郎は声をあげて笑う。光希も怒りながらも楽しそうに笑った。