神のパシリ 50

ディナー  2009-12-21投稿
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鍵が、人間の世界とも、
神の世界とも、
冥土とも違う、
また別の世界へと
三人を誘う。

全く異なる空間が、
瞬く間に今の世界を
包み込み、覆いかぶさり、
やがてそれが全てとなる。





「…これが…
『流れない』空間か…」



そこには、何もなかった。

空と大地を視覚に認識
させるような違いもなく、
白い、タテ、ヨコ、ナナメの空間が広がっている。




そこに、一つだけ…
存在する者。

見た目は、人や、神の
小間使いと代わり映えはしない。
少し老化が進んでいる
くらいである。



その者が、ゆっくり瞼を
上げた。

「…ここは、私以外の
何者かが来ると
『流れる』仕組みに
なっておる…」

老人は更に続けた。

「聞かなくていい。
貴殿らの目的は知っている。
…今知った、と言ったほうが適切かもな」


既に力を使ったのか。

「未来とは…流れる先とは常に流れておる。
無数にある流れの先を
ちょいとのぞき見た。
もし私が…何故来たか…
という不粋な質問をした
場合の先の流れをな。


だが、それも近頃は
不粋に感じるのぅ。

言葉とは、発して初めて
意味をなすもの。

今を生きる貴殿らの口
から聞いてこそ、
意味あるものなのかも
知れぬ。

未来も大事じゃが、
それだけ今も大事という
事よ。


私の見つけた『力』は、
存在が既に不粋な
ものなのかも知れぬ。

…これで、私の性や、
考え方はご理解頂けたかな?
申し送れた。私の名は
ロゾ。かつて、おぬしらと同業だった者じゃ」


どうやら、ゼル達の
目論見は全て見透かされているようだ。

流れに乗る事しかできないのだから、当たり前なのかも知れない。

目の前の者は、それを
操れるのだから。



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