「まだ来ないわね」
ママはWiiFitでヨガをしている。
「眠くない?」
「まだ大丈夫!」
「眠くなったら寝ていいんだぞ。サンタさんにはパパがお礼言っておくから」
パパはコーヒーを飲みながら、難しそうな本を読んでいる。
僕は台所、そしてトイレとお風呂場を覗いてから部屋に戻った。
これで三回目だ。まだ来る気配はないみたい。
今までいちばん夜更かししたのは、去年の大晦日だった。
それでも除夜の鐘は聞けなかったから、もう少しで新記録更新だ。
でもそろそろ限界かもしれない……。一瞬うとうとしかけたとき、突然ママの声が聞こえた。
「翔太! サンタさんよ!!」
急いでリビングに向かうと、今度はお風呂場の方でパパの声がする。
「翔太! こっちだ!!」
お風呂場に走って行くと、逆にパパがこっちに向かってきた。
「寝室に入ったぞ!」
僕はパパとママの寝室のドアを、おもいっきり開けた。
ピーヒュルルル……
お庭に面した窓は開いていて、カーテンが風で揺れていた。
「行っちゃったみたいね……」
ママは残念そうだ。
「また来年のクリスマスに言えばいいよ。じゃ、寝ようか」
パパに言われて、とぼとぼと下を向いて部屋に戻る。
「あっ!!」
勉強机の上には、さっきまでなかった綺麗なリボンが付いた大きな箱が置いてあった。