『お姉ちゃん。気分はどう!?』
三つ違いの妹の桜子は、いつも私の心配をし、こうして部屋まで来てくれる。
『うん。今日は少し気分がいいの。』
『そう、よかった。ふふ‥イブに彼と会うんでしょ!?
何着てくか決めた!?』
『ううん。まだ決めてないよ。桜子ありがと。私、目が悪いからさ。』
『え〜っっ!!だめだよ!!
おしゃれしなくちゃ!!
イブに会うんだからさ!!
今から買い物に行くよ!!』
『え‥ち、ちょっと‥桜子‥‥待って‥!!』
妹は、私とは全く正反対な性格だ。
明るく社交的で、
妹の周りには、いつも、にぎやかに人が集まってくる。
友達を大切にする優しい妹は、姉の私にも優しい。
思春期の頃、そんな妹に嫉妬してしまう自分が嫌になり、
悟られない様に、妹を避けていた時期があった。
けれど今は分かる。
彼女も彼女で苦しんでいたんだって。
ある時、妹が泣きながら私に言ったんだ。
『お姉ちゃんごめんね。
私だけ健康に生まれて来てごめんね。
お姉ちゃんの気持ちも考えないで‥‥。
自由気ままに行動してごめんね‥‥。』
『桜子のバカ!!
そんな事思ってくれてたんだ!?
気にしなくていいんだよ。
桜子は桜子。私は私だもん。
だから、桜子は今まで通り、自分らしく自信を持って行動していいんだよ。
お姉ちゃんは、桜子の事、大好きだからね。』
あの時、二人で声を出して泣いたっけ。
思い返せば、懐かしさでまた泣きそうになる。
自分らしく自信を持って――
もしかしたら私、自分に言い聞かせていたのかも知れない。
あの時の私は、まだ自分自身を受け止めきれていなかったと思う。
『お姉ちゃん。支度出来たら行くよぉ。』
けれど今は違う。
私には目標がある。
それは、
少しずつ、
少しずつ、
前に進んで行く事。
それは、
あなたが教えてくれた。
少しずつ、
少しずつ、
ゆっくり‥‥ね!!