「死は、終わりである。
それは命がいかに
進歩しても、命という
存在である限り
変わりはしない。
終わりには、
始まりがある。
光に闇が
必要であるように、
闇がなければ
光が存在できないように、
命には、誕生と終わりが
ある。
それは、森羅万象全てに
必然なものだ。
終わりのない命など、
ただの時の垂れ流し
でしかない。
いや、時など意味を
成さないものだ。
始まりと終わりがあって
初めて、
時は意味を成し、
流れが起こり、
生に意味が生まれる。
時間が流れ、それが
生そのものを立証する。
生には限りがある。
死があるからだ。
限られた生こそが、
命を強く輝かせ、
その光を凝縮させる。
苦しみ、もがき、
時には喜び、
命は磨かれていくのだ。
その全ての過程を、
生と死が立証する。
過去と、
現在と、
未来。
その全ては、生と死が
あって初めて
価値を与えられるのだ。
生が長いか短いかは
問題に値しない。
長くても短くても、
その間に流れる時が、
命を立証する。
生は苦痛もあるが、
快楽に満ちてもいる。
それに比べたら、
暗く、その全てを
無に帰する死は、
恐れられるものだろう。
今の命…特に人間は、
死を恐れる余り、
死の本来の意味を
見失いつつある。
終わりがあるから
輝いている事を
忘れている。
だが、恐れられこそすれ、
死は悪ではない。
俺は死を尊んでいるが、
だからと生を
憎んではいない。
死で、天秤をこちら側へ
傾けるつもりもない。
生死は、釣り合ってこそ
その本来の意味を、
輝きを持つのだ。
そのために、
俺は今ここにいるのだ。
生を軽んじるものも、
死を安んじるものも、
俺は許す気はない。