ナイフ?

陣内  2006-08-14投稿
閲覧数[365] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ドラマでもこのような言い訳を使うシーンがあるが視聴者は必ず「そんな言い訳、無意味だろ」と思うだろう。僕も実際そう思う。しかし、実際にこのような立場になると少しの希望でもあるなら、それに賭けてみたくなる。

『本心でないことは言っていいの?』

やはり言い訳は言わない方がいいな、としみじみ思った。

『ごめん』

『ごめんで済むなら警察はいらない』

これは冗談で言っているのか、と思った。それと、警察が必要なほど重大なことをしてしまったのか、と罪悪感が僕を襲う。

『…だけど、謝ることが人としての礼儀だと思うから』

自分で何を言っているのかわからなくなった。

しばらく沈黙が続いた。

『大切なものを馬鹿にされると腹が立つの』奈々さんが沈黙を破る。

僕が深い意味で言ったわけではない言葉が、奈々さんにとってはナイフのように鋭かったのだろう。言葉は姿を変えることがわかった。

『もしかして…弟からのプレゼント?』

僕は推測を口にする。

『そう』

『本当にごめん…』

しばらく、また沈黙が続いた。この沈黙が永遠に続きそうな気がしたその時…

『こんな時間に何してるのかな〜』

沈黙が破られた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 陣内 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ