今年も残すところ僅か。ついにお待ちかねのクリスマスがやってきた。
しかし、世の中には心から喜びの声をあげる人々もいれば、中にはその歓喜のクリスマスを心底から憎む人間もいた。
鈴木典子は、物心ついた時からクリスマスが嫌いだった。それは、最近では毎年の様に一人ぼっちのクリスマス、シングルベルを味わっていた。
もし彼女に素敵なボーイフレンドがいれば、クリスマスを楽しく祝えるだろう。
しかし、仕事に追われる毎日と消極的な性格から、彼氏を作る事ができなかった。クリスマスが来ると彼女はいつも憂鬱感と孤独感を味わうのだった。
27回目のクリスマスイブを迎えた。今年も残念ながらまた一人ぼっちのクリスマスだ。このままでは30前に結婚するのもかなり難しくなる。彼女は今現在と将来の事を考えると物凄く暗澹な気持ちや焦燥感または不安を感じるのだった。
そして彼女は気づいたら、ビルの屋上にいた。クリスマスイブに夕日が沈みかけて、サンセット色に染まる空が綺麗だった。
彼女は自分みたいに不幸な人間はこの世から去るべきだと考えていた。いっその事、消えてしまえばこの不安から逃れれる。
クリスマスイブに自殺するなんて聞いたらみんなに何て不幸な大馬鹿者だと言われるに違いない。自分はクリスマスが一年の中で最も大嫌いな行事であり、嫌な日でもあった。