『誰かー!助けてくださーい!』僕は大きな声で周りに助けを求める。
これで助けが来れば何とかなるだろう、と思ったその時…
背中を何かが突き刺さった…
ここはどこだろう…あ!屋上か。
目の前に太郎がいる。
『圭護、調子こいてんじゃねぇよ』太郎が言った。
『何かしたっけ?』僕に心当たりはなかった。
『そんな体で人を救えるはずがないだろ』
『前よりは強くなったような気がするけど』
『気がするだけだ。走るだけで強くなるはずがないだろ。結局お前は中途半端なんだよ』
僕だってやるときはやるんだよ、と思ったその時…
『サイテー』奈々さんが太郎に向かって言った。
太郎は心臓に手を当てて苦しそうな顔をする。
奈々さんはそう言うと、いつもの場所に歩いていった。
奈々さんが怒ったということは“大切なもの"に僕は含まれたのだろうか。そんなことを考えていると急に眠気が襲ってきた。
僕は急いで眠気を追い払う。今眠ってしまったら、永遠に目覚めないと思ったからだ。
今なら奈々さんの側でご飯を食べることが出来るような気がする。
そう思い、僕は奈々さんのもとへ走っていった…
意識が薄なっていく状態の中で…