ナイフ「完」

陣内  2006-08-14投稿
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『誰かー!助けてくださーい!』僕は大きな声で周りに助けを求める。

これで助けが来れば何とかなるだろう、と思ったその時…

背中を何かが突き刺さった…



ここはどこだろう…あ!屋上か。

目の前に太郎がいる。

『圭護、調子こいてんじゃねぇよ』太郎が言った。

『何かしたっけ?』僕に心当たりはなかった。

『そんな体で人を救えるはずがないだろ』

『前よりは強くなったような気がするけど』

『気がするだけだ。走るだけで強くなるはずがないだろ。結局お前は中途半端なんだよ』

僕だってやるときはやるんだよ、と思ったその時…

『サイテー』奈々さんが太郎に向かって言った。

太郎は心臓に手を当てて苦しそうな顔をする。

奈々さんはそう言うと、いつもの場所に歩いていった。

奈々さんが怒ったということは“大切なもの"に僕は含まれたのだろうか。そんなことを考えていると急に眠気が襲ってきた。

僕は急いで眠気を追い払う。今眠ってしまったら、永遠に目覚めないと思ったからだ。

今なら奈々さんの側でご飯を食べることが出来るような気がする。

そう思い、僕は奈々さんのもとへ走っていった…

意識が薄なっていく状態の中で…



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