アンダギちゃん

雛祭パペ彦  2006-08-14投稿
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 多くの天使がそうであるように「没落天使アンダギちゃん」も、高校生・神田ポロ郎のもとに降臨した。
 不幸の発端は、降臨してすぐに、アンダギちゃんを襲った激痛だった。
「うぷあぁぁぁ!」
「ど、どうしたの?」
「お腹痛ぅぃぃぃ。アンダギ、もしかして急性盲腸炎かもぉぉぉ」
「えっ! ど、どうする?」
「ポロ郎くん…悪いけど救急車呼んでほしいの」
「それはいいけど…アンダギちゃん、保険証持ってるの?」
「はい、コレ」
「…こんな保険証は、僕の世界じゃ使えないよ。保険証が使えないと、全額自己負担だよ? 僕、そんなお金ないからね」
「そんなぁ…でも病院に行かないと、アンダギ死んじゃうもん。死ぬの、やーもん! ポロ郎くん、お願い! アンダギのこと助けてよう」
「チッ…仕方ないなあ」
 結局、ポロ郎が119番通報をして、アンダギちゃんは近くの病院に搬送された。
 そして、急性盲腸炎だと診断されたあと、緊急手術が行われ、アンダギちゃんは、無事に一命をとりとめた。

 翌日。

「……むまー」
「あ、目がさめたようね」
 白衣のナースが、ベッドに臥せているアンダギちゃんに声をかけた。
「おはようございまぷぅ」
 声を発するたびに、アンダギちゃんの下腹やその周辺が痛む。
「…ポロ郎くんは?」
「ポロ郎さんなら、昨夜、手術が成功したのを見届けたあと、帰りましたよ」
「そうですかー。あ、アタシ、ポロ郎くんに、いっぱい迷惑かけちゃって…お金とか」
「ご心配なく。治療費は、全額いただいています」
「でも、そのう、ちゃんとした保険証を持ってなかったから…」
「お金のことは心配しなくていいのよ。それよりもアンダギちゃん、身体の調子はいかが?」
「あ、はい。盲腸を取ったせいなのか、前よりも身体が軽くなったみたいですぷぅ」
「うふふ、そうでしょ。取ったのは盲腸だけじゃないもの」
「えぅぅぅあっ! そそそそそれは、どういう…」
「2個ある腎臓のうち、1個を摘出したのよ。天使の腎臓は、人間の1億倍の機能を有しているから、すごい高値で売買されているの。それこそ、アンダギちゃんが、この病院に100年入院してもお釣りがくるほどのね」
「にゃふにぃょぷぅ!」
「あ、お釣りの数億円は、ちゃんとポロ郎くんに預けておいたから、安心して治療に専念してくださいね」
 そう言って、ナースは病室を去っていった。



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