世界でひとつだけの物語。?

麻呂  2009-12-27投稿
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空港のロビーで、彼と待ち合わせをしていた私は、緊張していた。


一人で外出したのは生まれて初めてだったし、


もちろん、一人で電車に乗ったのも初めてだった。


目が見えるって、こんな世界だったんだ。


ふと見渡した雑踏の中に、彼の姿を見た。



『桃子。待った!?』



嬉しくて、すぐに声が出ない。



今、私の目の前にいるのは、



まぎれもなく、私の大切な彼。



心臓の鼓動が高鳴る。



こんなクリアな視界で、初めて見る彼は、



想像していた通りの、とても素敵な男性だった。



『桃子!?目‥‥。』



『宇野崎さん。

私の目は今‥‥

しっかりと、宇野崎さんの姿を見ています‥‥。』



あなたの姿を見るのが、



どんなに夢だった事か。



これまでの凝縮された思いが、



一気に溢れ出た。



『今日は、クリスマスイブ。

今年は、どうやら僕の所にも、

サンタさんが来てくれた様だね。


美しい天使が舞い降りた。』



優しくキスされた。


あなたは強く私を抱きしめてくれた。



『いつもは僕の方から君を迎えに行くのに、

今日は空港まで来てくれてありがとう。』



『驚いた!?

お願いがあるの。

今日一日だけ、私のわがままを聞いて欲しいの。

私、宇野崎さんと行きたい所がたくさんあるんだ。』



『‥‥いいよ。

桃子の言う事、

何でも叶えてあげる。』





空港を出ると真っ白な世界。



『今年もホワイトクリスマスだ。

ね、桃子。』



『うん。』



ふわふわと舞い降りてくる雪が、



私達の間を、



ふわふわとすり抜けて行く。



つないだ手の温もりが、



私の中に伝わってくる。



あなたと、ずっとこうしていたいだけ‥‥



ずっとずっといたいだけ‥‥‥

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