｢お前も…いまいち
理解が足らないようだ。
お前が操れる
『時』
というものすら、
生と死があり、
始まりと終わりがあって
初めてその存在に
意味を持つものなのだ。
過去があるのは、
生が流れて、死が生を
手繰り寄せている
からだ。
現在があるのは、
始まりと終わりが
命に流れを
認識させているからだ。
未来があるのは、
限りある生が
流れ行く先を
照らし出すからだ。
『時』という、
神ですら操れない、
操作を望まなかった
ものでさえ、
始まりと終わりがあって
こそ認識され、
意味を成すのだ。
その始まりとは
『生』、
その終わりとは
『死』。
俺は、終わりを司る
『死の神』
の、小間使いだ。
よって、俺は死を尊ぶ。
それこそが、
俺が存在する理由
だからだ。
正直、俺が何者か、
どう始まり、
どう終わるのかは
考えない訳ではない。
だが、それは生と死の
天秤が釣り合ってから
でも考えられる話だ。
魂喰いは、それを覆す
存在だ。
奴は魂を喰う。
魂とは、命に平等に
一つだけ与えられる
ものだ。
それが、命を命として
証明する。
それを失った者は、
冥土へ渡り、また
新しい存在となる
輪廻の渦に戻る。
それを集める行為は、
生も、死も揺るがす。
魂は命を立証し、
始まりと終わりを
見守るからだ。
奴が台頭すれば、
始まりと終わりという
ものすら失われる
可能性がある。
破壊の神が何を望んで
いるのかは知らないが、
始まりと終わりを
失わせる行為を
断じて許してはならない。
例え魂喰いが、
俺の始まりと終わりの
情報に関わっていようと
それは問題ではない。
俺が現在も、未来も
意味ある存在で
あり続けるためには、
魂喰いの存在を
抹消しなければならない。
そして、神が意味ある
存在であり続けるため
にもだ。
世界が、命が、時が、
全てが意味ある存在で
あり続けるためにもな｣
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