誰だろ・・・?まさか?
ううん!!違う!!晃輝先輩に限ってそんな!!
きっと私の電話番号を聞いたのは、
Cメールをするためだよ。
取らぬ狸の皮算用。
とっさにその言葉が浮かぶ。
「は、はい・・・。黒田ですが。」
「おう!俺!!赤井だよ!!」
「えぇ!?」
あ〜。無駄な解釈をした。
「驚いた?ってか、大事な話だと思ったからさ、
電話のほうが良いかなあとか思って。」
「でも、話すと長くなりますよ?
先輩、電話代は大丈夫なんですか?」
「大丈夫!!俺は全然。
紅璃ちゃんに時間があるなら!」
「私はもちろん大丈夫です。」
「じゃあ、話してくれる?」
「私、佳奈先輩に酷いことをされました。」
「え!?」
あのときの恐怖が再び襲い掛かる。
涙が出そうになるが、堪えた。
先輩の前では泣きたくない。
「それで・・・。
まだやっぱり、晃輝先輩のこと好きみたいで・・・。」
「うん・・・。」
「私、殺されるかと思いました。
水溜りの中に顔を突っ込まれて・・・。」
「そうなの?大丈夫なのか?本当に。」
晃輝先輩の心配そうな声を聞いたら、
とたんに涙が溢れてくる。
泣かないって決めたのに・・・。
「グスッ。大丈夫です・・・。」
「え・・・?泣いてる?」
「いえ・・・。グスッ。大丈夫です・・・。」
「やっぱ泣いてるじゃん。
ゴメンな、俺のせいで・・・。」
「いえ・・・私が悪いんです・・・。」
どんどん涙が溢れてくる。