「あの…私、２ヶ月前に彼と別れました。…理由は、私がものすごく、束縛するからだって。」
「はあ…」
「好き同士だったら、ある程度の束縛も、必要だと思うんですけど、石川さんは、どう思いますか？」
「どう思いますかって…」
哲彦には、文子の質問の意図がわからなかったが、素直に自分の考えを、話した。
「それは、程度にもよるよね？あらかじめ、２人で決めたことを、やるならともかく、それが度を過ぎて、彼が彼の友達を失うくらいまでになるなら、良くないと思うしね…それに」
「それに？なんでしょうか？」
「お互いが、束縛しあって、お互いの友人を失うのも良くないと思うけどね。 下原さんと彼は、
そうなってしまったの？」
「…」
文子は、しばらく黙ってしまった。
「彼は、友達との関係を修復しましたけど…私は…。」
その雰囲気で、哲彦は悟った。
「まあ、人を好きになるにも、大きな気持ちで、構えてた方がいいんじゃないかな？それに、悩んだ時に、心から話し会えるのは、親や恋人だけじゃないよ。
普段は、バカなこと言い合ってても、真剣な話でも、本音が言い合えるし」
「…石川さんは、いらっしゃいますか？そんな友達が」
「いるよ。２人ね。けんかもしたし、若い頃は、夜通しで遊んだよ。くだらないことで熱くなったり、女性の話で盛り上がったりもしたしね（笑）…ただ、俺達３人は、好きになったら、相手を尊重して、優しく接することは、心がけてきたね。…まあ、それで相手の心が離れたら、しょうがないとね…。まあ、それで今まで、結婚出来ないんだけどね（笑） …で、そろそろ聞きたいんだけど」
「はい…」
「下原さんが、俺に話したい、核心部分てなに？」
「それは…」
文子は、いつのまにか、哲彦の話に聞き入っていた。
最初は哲彦が、前の彼氏に面影が似ていることと、もともとタイプであるから、きっかけを作りたかったのだが…。
哲彦の考えに、少なからずとも影響されている自分がいることに、気づいた。
（私…かたくなすぎたんだろうか？）
そして、思い切って、告白した。
「あの…今は、友達からでいいです。交際してもらえますか？」
その、迫力ある言い方に、哲彦はたじろいだが、快く答えた。
「いいよ。…でも、さっきの俺の考えを理解してね」
「はい」
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