知ってるよ。
君の笑顔が一番眩しい時。
でも、あなた知らないでしょ。
あたしの笑顔が一番眩しい時。
――…??…――
『泉先輩ってほんとに知らないの?』
のりちゃんは不機嫌そうにポカリを飲む。
『多分…知らないよ。』
『あたしが恋敵にそんなこと言われたら、思いっきりぶん殴りたくなるけどね。』
『のりちゃん怖いってば…』
朝の出来事をのりちゃんに話したら、"よく怒らなかったね"って言われた。
確かに悔しさは感じたけど、怒りは無かった。
今のあたしじゃ泉先輩に敵わないってことわかってれば
何を言われても怒る気力なんか出てきやしない。
それよりも今は、すこしでも鈴木くんにあたしのこと見てもらいたい。
なんでもいいから、気にかけて欲しい。
『あたし頑張るね。』
なんとなく言ったつもりだったのに、のりちゃんはすこしびっくりした顔をしてる。
『どしたの?』
『いや…鈴木くんに関する話しするとさ、眩しいくらい笑顔になるね。』
『…そう?あたしいっつも泣いてる気がする。』
のりちゃんは笑って、泣いてる亜美も可愛いけど。と言った。
今日は1日中、明日の朝鈴木くんと何を話すか考えることで頭がいっぱいだった。
野球の事はそんなに詳しくないけど、きっとあたしと鈴木くんに一個くらい共通点あるよね!
今日のあたしは信じられないくらい前向きだ。
のりちゃんに言われた言葉が、あたしを笑顔にしてくれる。
鈴木くんの話ししてると笑顔が眩しい…か…
『えへへ。』
HR中ににやけたら、ゆうたから"きもいぞ"と書かれたメモが回ってきた。
ほっとけ!
放課後、明日朝練があるのか鈴木くんに聴きに行こうと一大決心をし、隣の教室に行くと、鈴木くんと泉先輩がいた。
『…あ…。』
鈴木くんが笑って話してる。
楽しそうで 嬉しそうで 幸せそうで
『眩しい……。』
言ってから、気が付いた。
『…鈴木くんも、あたしと一緒だ。』
ねぇ。
みつけたよ。
あなたとあたしの共通点。
みつけたのに。
切なくて どうしようもない。