九十九里の山道の途中、疲れ果て、膝をつき、空を仰ぐ。 掌に落つる雨粒を一粒、一粒数えてみれど、次第に幾千の天涙と化す。 頬を伝う涙も、時雨と混ざりて、塵に同じ。 さあ、立ち上がれ。 背中にのしかかる要らぬ尊厳など跡形もなく拭い去って。 そして泣き濡れた雲を貫く程の、盛大なる騒き唄を。 したらば、雲の向こうの上弦の月は、きっとお前に光の矢を放つから、その時、胸に突き刺さる痛みと眩しさをお前は越えてゆけ。
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