第二話 理由なき汚名
「いっ一体なんなの!?」
急に授業の最中に手を握られて教室を飛び出され、わけの分からないまま学校外に連れ出された青山雪野は学校から300m出たところで連れ出した同じクラスの鏡京都の手を先のセリフと同時に無理矢理ほどくと、ようやく京都は止まった。授業中に男女が一緒に抜け出して学校で噂にされては困ると思った雪野だが、京都の表情は、恐怖に怯えている……いや、何かに戸惑っているかのように、微かに震えていた。いつも教室では面白い事をやって雪野とは、違う意味でクラスの中心の人物。いつも笑った顔しか見たことがない彼が、怯えて戸惑っているので……
「一体どうしたの?」
と、最初より柔らかく聞くが、京都は何も話さなかった。
「先生たちに謝らないと。心配しているよ」
と、二言目を言ったが、それでも京都は何も話そうとはしなかった。あまり話した事は無かったが明らかに京都がおかしいと、思った雪野は授業妨害をされた事にはもう怒らずに京都の身を心配するようになった。
「なにか私に相談事があるのだったら言ってみて?あっ!けど、ここではあれだから学校で聞くわ」
と、さりげなく学校に戻るように勧めてみた瞬間京都の表情が一変した!
「学校は駄目だ!」
京都は、急に大きな声を出した。急に大きな声で言われたので雪野は驚いたが、先程から無茶苦茶な事をしている京都に耐え切れなくなってきたのか
「なんなのよ!?いったい何がやりたいの!?」
流石に勝手極まりない京都の言動に起これた雪野は怒り口調で少し怒鳴ると、京都は急に雪野の口を右手で押さえ込んで路地裏に連れ込んだ。モガモガと、雪野が暴れるが京都は
「静かに!」
と、小さな声で耳元にささやいた。
「(なんなの?一体!?)」
雪野はそう思ったが、そんな事を考える時間さえ神は与えてくれなかった。警官と話していたおばちゃんがこっちの方を指差したのだ。どうやらおばちゃんは先程大声を出したときの声の方向を聞いてその方向を教えたのだろう。どんどんこっちの方にやってきた!!