知ってるよ。??

やまだ  2006-08-14投稿
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知ってるよ

あなたがいつも、どんな想いであの人に話し掛けるのか。

でも、あなた知らないでしょ。
あたしがいつも、どんな想いであなたに話し掛けるのか。



――…??…――




『…ここで止まっちゃだめだ。』


一大決心を踏みにじるわけにはいかない。

あたしは深呼吸をして、教室に入った。


『あ、沢木だ!』
『ほんとだ!亜美ちゃんだ!』

2人は笑ってる。
あたしなんかついてる?


『な、なんで笑うの?』


恥ずかしくなったあたしは、たまらずに聞いてみた。


『今ね、ヨシと2人で亜美ちゃんの話ししてたの。』
『そうそう。リアクションは学校1だよなって。』
『ひ、ひどい!そんなことないもん!』


否定したらさらに笑われて、あたしはふてくされながら鈴木くんに尋ねた


『明日って、朝練ある?』
『いや、明日は無い。』
『…そっか。』
『なんで?』

しまった。
理由考えるの忘れてた。

『あーいや…その…』


泉先輩がニヤニヤしてる。
このやろう。


『す、鈴木くんがいないと、泉先輩が寂しがるからッ…』



なぜかとっさに出てきた理由。

鈴木くんが真っ赤になる。


『えっ…』
『やだ。ヨシ本気にしてる?冗談よねー亜美ちゃん!』
『わっわかってますよ!』


あたし馬鹿?


『てゆーか、寧ろ寂しがってるのは亜美ちゃんだしね?』

泉先輩がニヤニヤしながら言う。

『えっ?!』


今度はあたしが赤くなる。
泉先輩何言い出すの!
鈴木くんに気が付かれたら…ッ!

あたしの心配は、しっかり反れた。


『なんだ。沢木俺がいないと寂しいの?』


泉先輩の時とは真逆の反応。
好きな人でも、ここまで鈍いと腹がたつ。


『寂しいよ!すごく!』
『そーかそーか!』


なげやりに答えたら、鈴木くんの掌が、ポンとあたしの頭におかれた。

『明日は一緒に行けるからな。』
『……そ、そうだね。』


鈴木くんはあたしの髪をするりと撫でて、ニコッと笑った。

あたしも負けずに笑ってみせた。
嬉しくて切なくて 涙が溢れそうなのに。

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