警官に探された事のない雪野は、自分が悪い事をしたと考えているのか取り乱している。
「わっ私何かやったの!?」
「さっき授業を抜け出したから!?」
と、しまいには、ありえないことまで言う始末。しかし、京都はそんな雪野の言葉を聞かずに辺りを見渡し逃げる方法を考えていた。
しかしここは路地裏といっても、後ろはすぐに壁で逃げ場所がない。今路地に飛び出したら確実に警官に見つかって雪野は捕まるだろう……雪野はそう思っていたが、京都は違っていた。あるものに目をつけた瞬間
「ここに隠れて!」
そういって京都は無理矢理にある中に雪野を入れさせた。
「えっ!?これって」
戸惑った雪野だが、京都に無理矢理入れられて抵抗すらさせてもらえなかった。そうするうちに警官がこちらの路地に入ってきた。
「ん?何をしているのだい?こんな時間に一人で?学校は?」
警官は一人しか居ない京都に質問をしてきたのだ。確かに、今の時間は平日の十時半………学生が一人でうろうろとしているにはおかしい時間だ。とっくに学校で授業をしているはずだ。だが、雪野は一体何処に隠れたというのだろうか?しかし、警官は雪野のことよりも目の前の京都のことに意識を持っていったみたいだ。
真面目な警官なのだろう。その質問を受けた京都は、俯いていた顔をすっと上げて……
「いや〜今朝盛大に寝坊をしてしまいて〜今、塀を越えて急いでいたんですよね」
と、ヘラヘラと笑って表情を一気に変えて話し始めた。先程の表情からは考えられないと、思ったがこちらの京都が普段の表情なのだから簡単のはずだ。それほど先程の表情は凄い剣幕だったのだ。しかし、京都自身雪野が指名手配になっている事を知っていて雪野を連れ出したいわば共犯者なのだ。心臓バクバクのはずだ。京都もその後、嘘千万を並べて喋るが、心臓の音が漏れそうなくらいバクバクと体全体を波打っていた。
はたして、京都は警官を欺けるのか!!?