いつもの何ら変わらない毎日だった。別に嫌ではなかったし、それなりに楽しんでいた。そんな毎日の中、それは気が付かないうちに侵食を始めていた。気付いたらもう認めざるを得ないもの。
一通のメールが来た。
『ヤッホー奈緒子。元気?今度前の会社のメンバーで飲み会やるんだけどこない?』
三年前に辞めた会社の同僚からだった。さして仲良くもなく悪くもなくそれなりの相手だった。ただ少し、平気で他人の領域に入ってくる性格だけが気にいらなかった。
まぁ、暇だったしたまにはいいかと軽い気持ちで行く事にした。
会場は定番の飲み屋で人数はざっと30人、よく集まったようだった。端々で聞こえて来る再開を喜ぶ声。
それを、傍観者のように眺めていた。
『久しぶり、元気してた?』自分に向けられた言葉に驚いたと同時に面倒に思った。曖昧な愛想で流しておいた。
もともと上手く立ち回れてなかった職場だけに、どんどんしんどくなっていった。
来たのも、あの人が来るって聞いたからだったのに風邪とは何ともついてない。
様々な話が飛ぶなかかろうじて聞こえて来た。『結婚したんだって、橋詰さん』