人斬りの花 35

沖田 穂波  2010-01-02投稿
閲覧数[375] 良い投票[0] 悪い投票[0]


7-4 心路つ

『抄司郎‥,』

平太はそんな抄司郎の姿を見て,一瞬申し訳ないと言う顔を見せたが,すぐに不気味な微笑みを浮かべた。

『全てその通りだ。
お前は相変わらず勘が鋭いな。』

『やはり。
何故武部と‥。』

平太は顔を歪めた。

『そういえばお前とは,幼少からの付き合いだったなぁ。読み書きも剣も,同じ場所,同じ時期,同じ師匠に教わり,兄弟同然の様に育てられた。』

『‥ああ,実力に差もなかった筈だ。』

『違う!!』

平太は声を荒げた。

『剣だけはっ‥!!』

幼少の頃の自分を思い出し,平太はその時の苦しみにふるえた。

『剣だけはいくら努力しても,お前にはかなわなかった!!』

『‥,』

『お前は師匠の跡取りの有力候補だった。つまりお前の剣は誰からも認められていたのだ。俺も認めて貰いたくて,必死に努力した。しかし最後までそれは叶わなかったのだ。』

平太は拳を握りしめた。

『お前が道場を出て行き四年がたった日の事だ。相変わらず俺は師匠の道場にいたが,ようやく俺を認めてくれる人が現れた。それが武部だよ。』

その時の喜びを噛み締める様に平太は言った。

『俺の才能を買うと武部は言った。だから俺は,師匠を捨てて武部の所へ行った。仕事が親友のお前を斬る事でも迷わず引き受けた。この人の為なら何でもすると,誓ったんだ。』

『平太‥』

『分かっている。俺を斬るのだな。望む所だ。』

平太は自信あり気に刀を抜いた。

『俺はあれから数々の修羅場を乗り越えて強くなった。今ならお前にも勝てる!!』

襲いかかった平太の剣を抄司郎は頭上で受け止めた。
確かに平太は抄司郎と同じ位。いや,それ以上と言っても過言ではない程強くなっていた。

≠≠続く≠≠

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 沖田 穂波 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
炭酸でシュワシュワー!!
痩身ジェルが進化!


▲ページトップ