「カズ、今度一緒に映画見に行かない?」
「何の?」
「カズの好きなジャンルでいいよ」
「……『陸奥一人旅』」
「時代劇!渋っ!」
私はお腹を抱えて笑った。
カズとはすっかり仲良くなっていた。
学校時間外でも会うようになっていたし、いろんな話をした。
「ねぇ、交換日記してみない?」
「交換日記?」
「うん♪思ったこと、何でもいいから書くの♪忙しいときは一行でもいいし」
「…いいよ」
「じゃあ私ノート用意するね♪」
初めは、ただの思いつきだった。
あの日記がなかったら、どうなってたのかな…。
もしかしたら、私はカズの気持ちも知らず、今まで通りカズにくっついていたのかもしれないね。
今でも大事にとってあるよ。
私たちの、交換日記。
続く