神のパシリ 59

ディナー  2010-01-04投稿
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「…むかつくぜ。
ただでさえ腹が減って…

ハラがヘってイライラ
してんだヨォ…」

やたらノイズ混じりの
だみ声で、魂喰いは
躯を脈打たせた。



もはや、魔物でしかない。


「クぅ…タましイ…くゥ…オマえラ…全イん…

せ世界 カか かエ てやるせ世 界変え テヤル世  界
カエ るカ エテ やる世界変えテ 世界カエテやル世 界 世界世界カエ てヤ ル
神死ね 紙 シ ネ神 死ネ カみしね ネ申 噛み死ね 神シネ
壊す壊す壊す壊す怖ス
壊せ  壊せコ わせ
皆さん喰われて喰われてクダ  さい






…………た……………………………す……………………………け……………………………て………」





レミーシュの瞳から、
涙が落ちた。





ゼルが跳躍した。

左手には、
キアの得物である
月の鉈が握られている。

まるで我が物のように
操り、魂喰いと片腕で
やり合う。

魂喰いは、鉈を嫌がる
ようにただ両の右手を
振り払うだけで、
もはや人としての仕種
ではなく、獣のそれだ。

それでも神の小間使いと
互角か、上回る
立ち回りに、ゼルも
退かないように
下肢を踏ん張り、
鉈を叩きつける。


月はない。


それが、以前の
ゼルと大きく変えた。

呪縛がなくなり、
片腕でも、ゼルは
魂喰いとほぼ互角に
斬り合えている。

彼の後方で、
月の小間使いキアが、
何事か唱えている。

「主よ…力なくとも…
刹那でよいのです…

…………………行け」

魂喰いの真下が
陽炎のように揺らめき、

鎖が射出される。

以前ほどの力はない。

月と死は相反するもの。
今のキアには通常の
半分以下も力はない。

だが、刹那でも魂喰いを
縛りつけんとする。

魂喰いは孤独だ。

周りを、世界を否定し、
自らしか信じず、
命を獲物としてしか
捉えていないのだから。


だが、ゼルは違う。


それが、斬り合いの
決着をつけた。

鎖が魂喰いを縛り、
即座にそれをちぎり払う
一瞬の刹那。

今のゼルには、
それで十分だった。

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