まさか翔が
片思いをしてるなんて。
全然知らなかった。
もちろん、たった今
翔に片思いをしてる人が
いるって分かったのに
「翔に恋をした」なんて
言える訳なかった。
その相手が分からない
あたしとしては
「相手を知りたい」
という興味と
「知ったら傷つくかも」
という恐怖に駆られて
複雑な気持ちで
いっぱいだった。
「へ.へ-。そうなんだ。」
自分から聞いたくせに
あっけない事しか
言えないあたし。
それから2人で
しばらく沈黙した。
2.3分たった頃
翔はこんな事を
聞いてきた。
「...お前...は?」
「...え?」
「お前は...
好きな人...いる?」
こんな時に
聞くか普通???
あたしは心の中で
叫んだ。
あんただよ!!!!
でもあたしは
あえて答えた。
「ん-い.いないかなあ。」
そのほうが
翔の恋を応援できるし、
自分勝手な
この気持ちにも
バイバイできる。
「そ.そうなんだ...」
何だか悲しそうな翔。
このにごった空気を
何とかする為に
あたしはこう言った。
「あ.そうだ!今日勇人の
誕生日なんだけど-
放課後さ-
誕プレの買い物
付き合ってくれない???」
そしたら、急に
笑顔になって...
「おう!そうだったな!
もちろん付き合うぜ♪」
と言ってくれた。
「んぢやあ、放課後ね♪」
あたし達は
放課後行く事に決めた。
---放課後。
「翔くんと買い物デ-トか!積極的だね-い♪」
「ちゃ-んとあぴ-る
してくるんだゾ♪」
「お-い。美紗季いくぞ
んぢゃあな⌒♪」
「「ばいば-い♪」」
美帆と柚果に
冷やかされながら、
あたしは翔と
教室を出た。
「「ぅ゛げっ!」」
廊下に出ると
翔のファンクラブが
待ち構えていた。
「翔く-ん、私達と
一緒に帰らな-い??」
あたしは空気を読んで
こそこそ声で
翔に話かけた。
《ねぇ...》
《ん-?》
《ど-すんの?》
《ど-するって
言われてもなあ...》
《翔が何とかしてよ!!!》